2014.4.18 07:00

「死刑執行後の再審開始に裁判所は怯えた」…飯塚事件“完敗”弁護団の厳しすぎる“逆転へのハードル”

 すでに執行された元死刑囚の「疑惑の死」は完膚無きまでに否定された。福岡県で平成4年、小学1年の女児2人が誘拐、殺害された飯塚事件。殺人などの罪で死刑が確定、執行された久間三千年(くま・みちとし)元死刑囚=当時(70)=の再審請求審で、福岡地裁は3月31日、請求を棄却する決定をした。死刑確定から執行まで2年。執行後さまざまな憶測が出たが、決定は「新証拠をもってしても確定判決に合理的疑いは生じない」と結論づけた。弁護団は即時抗告し、審理の舞台は福岡高裁に移るが、焦点のDNA型鑑定を再現することはもはや不可能で、弁護団にとって極めて厳しい情勢だ。

(清宮真一)

「結論ありき」と批判

 わずか4日前に出た再審決定のシーンとはあまりに対照的な光景だった。3月31日午前10時過ぎ、福岡地裁。弁護団は裁判所から決定書を受け取ると、廊下で待機していた報道陣に「許し難い」との言葉を残し、裁判所の弁護士控室へと足早に消えた。地裁周辺に支援者らの姿は一切なく、決定主文を知らせる「旗出し」もなかった。

 同月27日、静岡地裁が袴田事件の再審を認める決定を出した際は、多くの支援者が裁判所を取り巻き、関係者は「再審開始」の旗を掲げて沸いた。静岡地裁の決定は、捜査当局による証拠捏造(ねつぞう)の疑いを指摘し、死刑囚の拘置停止にまで踏み込んだからだ。

 飯塚事件の弁護団も袴田事件の流れに乗れるのではと、31日の決定当日は期待を寄せていた。だが、結果は請求棄却。同日午後に福岡市内で開かれた記者会見で、弁護団代表の徳田靖之弁護士は怒りに声を震わせながら決定を批判した。

 「およそ裁判の名に値しない。死刑執行後の再審開始という重大性におびえ、請求棄却という主文に反する決定的な証拠を無視した。結論ありきだ」

証拠の総合評価で有罪

 事件は平成4年2月20日に発生。福岡県飯塚市でいずれも当時7歳の小学1年の女児2人が登校途中に行方不明になり、翌日、同県甘木市(現・朝倉市)の山中で遺体で見つかった。

 福岡県警は6年9月、女児らの通学路を普段から利用し、土地勘のある久間元死刑囚を死体遺棄容疑で逮捕。翌10月には殺人容疑でも再逮捕した。元死刑囚は「やっていない」と無実を訴えたが、福岡地検は殺人などの罪で起訴した。

 地検や県警は公判に備え、数々の証拠を積み上げた。主な証拠だけでも、(1)遺留品の発見現場近くで事件当日、元死刑囚の車と似た車両の目撃証言(2)元死刑囚の車の中から女児の1人と同じ血液型の血痕検出(3)女児の着衣から車の座席とほぼ同一の繊維片確認(4)遺体などから採取した犯人のものとされる血液と元死刑囚の毛髪のDNA型一致-をそろえていた。

 1審福岡地裁判決は、これらの証拠を検討。DNA型鑑定結果について「犯人が1人ならDNA型は一致するが、単独犯との前提が証明されておらず証明力は弱い」と指摘し、数々の状況証拠も「単独では犯人と断定できない」とした。その上で「証拠を総合評価すれば合理的疑いを超えて犯人と認定できる」として死刑を言い渡した。

 2審福岡高裁も1審判決を支持し、18年に最高裁が上告を棄却して確定した。

東の足利、西の飯塚

 20年9月、再審請求の準備をしていた主任弁護人の岩田務弁護士らは福岡拘置所を訪問した。久間元死刑囚は面会室で準備の知らせに喜び、死刑囚の判決確定日と執行日が記載された一覧表を手にこう言った。

 「自分はまだ5、6年先だから」

 弁護団も同じ見方だったが、約1カ月後の20年10月28日、刑が執行された。18年10月8日の判決確定から2年余り。10年以上執行されないケースも目立つ中では、早かった。

 この執行のタイミングは“疑惑”を呼んだ。直前の10月17日に、足利事件の再審請求即時抗告審でDNA型再鑑定が行われる見通しが報じられていたからだ。

 足利事件の鑑定方法は飯塚事件と同じく、警察庁科学警察研究所(科警研)による「MCT118型」検査。鑑定が行われた時期もほぼ同じころで、犯罪捜査に導入された直後だった。

 足利事件の鑑定試料は1人分の体液だったが、飯塚事件は複数人の体液が混ざり、当時の技術水準では鑑定がより困難だったとされる。のちに「東の足利、西の飯塚」と鑑定の信用性に疑いが生じ、冤罪(えんざい)の可能性が指摘されていた。

 足利事件では、即時抗告審での再鑑定によって犯人の体液と元受刑者のDNA型が一致しないことが明らかになり、22年の再審判決は「(鑑定が)科学的に信頼される方法で行われたと認めるには疑いが残る」と証拠能力を否定した。

 こうした経緯を受け、飯塚事件の弁護団は久間元死刑囚の執行について「足利事件が再審開始に大きく傾く中で、臭いものに蓋をしたのではないか」と疑いの目を向けている。

DNA型鑑定なしでも…

 執行からちょうど1年後の21年10月28日、久間元死刑囚の妻が遺志を継ぎ、再審請求した。審理では、女児に付着した「犯人の血痕」とされるDNA型鑑定の信用性などが焦点となった。

 現場で採取された資料は残っておらず、再鑑定はできない。弁護団が科警研のDNA型鑑定の分析を依頼した本田克也・筑波大教授(法医学)は、当時の鑑定データを撮影した写真のネガフィルムを解析し、「犯人と元死刑囚とのDNA型は一致しない」とした。

 さらに本田教授は科警研の血液型検査を批判し、「確定審でB型とされた犯人はAB型で、B型の元死刑囚と異なる」と指摘。弁護団はこうした分析などを新証拠として提出した。

 福岡地裁の決定は、科警研の血液型検査に関する本田教授の分析を「再鑑定に基づかず、抽象的な推論に過ぎない」と一蹴。続いてDNA型鑑定については本田教授の分析を踏まえ、判定方法が異なればDNA型が一致しない可能性もあるとして、「当時の判定方法で一致したからといってただちに有罪の根拠にはできない」と述べた。

 足利事件の再審判決で同じ鑑定法が証拠能力を否定された点は「当時の科警研によるDNA型鑑定の一般的な信頼性に影響するわけではない」と退けた。

 その上でDNA型鑑定を除いた状況証拠だけでも「元死刑囚が犯人であることについて合理的な疑いを超えた高度の立証がなされている」と判断。弁護団の新証拠に有罪を覆すだけの明白性は認められないと結論づけた。

高すぎるハードル

 袴田事件と異なり、飯塚事件では鑑定試料が残されておらず、DNA型再鑑定がかなわなかった。また弁護団が請求審で証拠開示を求めた科警研の実験ノートなどは廃棄されたという。

 弁護団は決定後の会見で「科警研は、自分たちの鑑定が正しいかどうかを第三者が検証する道をぜんぶ断っている。科学の命ともいうべき再現性が保証されていない」と批判。「こんなことで一人の命が奪われたことに衝撃を覚える」と述べた。

 弁護団は地裁決定を不服として4月3日に福岡高裁に即時抗告した。近年はDNA型の再鑑定が再審開始の有力な根拠となるケースが相次いでいる。だが、飯塚事件にはもはや再鑑定の道がなく、高裁での逆転決定を得るにはあまりにハードルは高いといえる。

【産経WEST】より
http://www.sankei.com/west/news/140418/wst1404180001-n1.html
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 同月27日、静岡地裁が袴田事件の再審を認める決定を出した際は、多くの支援者が裁判所を取り巻き、関係者は「再審開始」の旗を掲げて沸いた。静岡地裁の決定は、捜査当局による証拠捏造(ねつぞう)の疑いを指摘し、死刑囚の拘置停止にまで踏み込んだからだ。
袴田事件の裁判官は立派な人である。

 「およそ裁判の名に値しない。死刑執行後の再審開始という重大性におびえ、請求棄却という主文に反する決定的な証拠を無視した。結論ありきだ」
飯塚事件の死刑執行後の再審開始は難しいのか!

 地検や県警は公判に備え、数々の証拠を積み上げた。主な証拠だけでも、(1)遺留品の発見現場近くで事件当日、元死刑囚の車と似た車両の目撃証言(2)元死刑囚の車の中から女児の1人と同じ血液型の血痕検出(3)女児の着衣から車の座席とほぼ同一の繊維片確認(4)遺体などから採取した犯人のものとされる血液と元死刑囚の毛髪のDNA型一致-をそろえていた。
すべてが捏造・でっち上げの証拠なのか?

 弁護団も同じ見方だったが、約1カ月後の20年10月28日、刑が執行された。18年10月8日の判決確定から2年余り。10年以上執行されないケースも目立つ中では、早かった。
いきなりの死刑!!!

 この執行のタイミングは“疑惑”を呼んだ。直前の10月17日に、足利事件の再審請求即時抗告審でDNA型再鑑定が行われる見通しが報じられていたからだ。
10月17日に足利事件のDNA再鑑定が決定して、11日後に死刑執行か!

 足利事件の鑑定方法は飯塚事件と同じく、警察庁科学警察研究所(科警研)による「MCT118型」検査。鑑定が行われた時期もほぼ同じころで、犯罪捜査に導入された直後だった。
同じ鑑定方法である。

 こうした経緯を受け、飯塚事件の弁護団は久間元死刑囚の執行について「足利事件が再審開始に大きく傾く中で、臭いものに蓋をしたのではないか」と疑いの目を向けている。
死人に口なし!!!

 現場で採取された資料は残っておらず、再鑑定はできない。弁護団が科警研のDNA型鑑定の分析を依頼した本田克也・筑波大教授(法医学)は、当時の鑑定データを撮影した写真のネガフィルムを解析し、「犯人と元死刑囚とのDNA型は一致しない」とした。
「犯人と元死刑囚のDNA型は一致しない」

 さらに本田教授は科警研の血液型検査を批判し、「確定審でB型とされた犯人はAB型で、B型の元死刑囚と異なる」と指摘。弁護団はこうした分析などを新証拠として提出した。
「犯人と元死刑囚の血液型は異なる」

 福岡地裁の決定は、科警研の血液型検査に関する本田教授の分析を「再鑑定に基づかず、抽象的な推論に過ぎない」と一蹴。続いてDNA型鑑定については本田教授の分析を踏まえ、判定方法が異なればDNA型が一致しない可能性もあるとして、「当時の判定方法で一致したからといってただちに有罪の根拠にはできない」と述べた。
「当時の判定方法で一致したからと言ってただちに有罪の根拠にはできない」

 袴田事件と異なり、飯塚事件では鑑定試料が残されておらず、DNA型再鑑定がかなわなかった。また弁護団が請求審で証拠開示を求めた科警研の実験ノートなどは廃棄されたという。
「科警研の実験ノートは破棄された」?
破棄したのではないのか?証拠隠滅!

 弁護団は地裁決定を不服として4月3日に福岡高裁に即時抗告した。近年はDNA型の再鑑定が再審開始の有力な根拠となるケースが相次いでいる。だが、飯塚事件にはもはや再鑑定の道がなく、高裁での逆転決定を得るにはあまりにハードルは高いといえる。
弁護団には、何としてでも頑張って頂きたい。

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